2004年5月13日

追憶の東京生活 1

東京の朝の列車は、身動きもままならないほどの混雑なのに、話し声も殆ど聞こえない。乗客はみんな虚ろな眼をしていて、糸が切れたマリオネットのように見えるのに、目的の駅に着くと、突然スイッチが入ったように早い足取りで歩き出す。

今日もそれぞれの場所で、それぞれの役割を演じているんだろうか。

山の手線の田町駅から湾岸方面に出ると、目の前には同じような格好で、同じような鞄を持った、同じような表情の人たちが、目の前の道を埋め尽くしている。足元には無数のタバコの吸殻。運河沿いの灰皿にも吸殻の山が消えきれない煙を燻らしてる。これがこの街のストレスの象徴なのかもしれない。

ホントは嫌なこと、我慢できないことをたくさん抱えているのに、何もないようなフリをして、自分も他人もごまかしながら、昨日と変わらない今日を過ごしていく。

このままじゃいけないってことは、うすうす気づき初めてる。それでも、今の役割を演じるのに精一杯で。遠くの国の戦争のこととか、近いうちにあるらしい選挙のこととかに関心しているほど、心と時間の余裕がなくて。だから、これ以上は考えない。考えても目の前の問題は解決しない。だから、今は前だけを見て歩いていく。足元に大きな穴が開いていることも気づかずに。

この間「流れに身を任せることと、ただ流されることは違う」なんて、アイツに偉そうに話していたのはダレ?

歌の歌詞じゃないけれど、いつでも努力が足りないらしかった。全ては自分がいけないらしかった。「自分の場所は自分でつくれ」とあなたは言うけれど、こんな思いをしてまで、ホントに自分はココに居たいんだろうか。見上げた空は、今日もスモッグで翳んでいる....

・・・・・・

こちらに移住して3ヶ月。東京にいた頃は、こんなことばかり考えたり聞いたりしていたような気がする。まだまだ書くことがありそうだから、タイトルに"1"をつけておく。

background music
朝焼けの歌 / 川村結花
投稿者 Kazoo : 2004年5月13日 00:21
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