2007年1月 6日

LIFE


いつものように、何をするでもなく街を歩く。
ちょうど正午を少し過ぎた時間。辺りは相変わらず賑やかな音で溢れ返っている。
俺はカバンからiPodとイヤホンを取り出す。まるで、そんな音を遮るかのように。

交差点で信号を待ちながら、せわしなく行きかう車や人を眺めていると、
耳元から、不意に飛び込んできたフレーズ。


急ぎ足で すれ違う人たち 「夢は叶いましたか?」


・・・

・・・

夢・・・。学生の頃はよく作文を書かされたよな。
そうそう、高校生の進路研究のレポートには大真面目に「宇宙飛行士!」って書いて、
担任から冷ややかなコメントを返されたっけ。ははは。

・・・

そういや、「夢」について考えなくなったのは、いつからだろう?

小さな頃の文集とかには、よくそんな文字が躍ってたハズなのに、
いつの間にか、目の前の現実ばっか気にしている。

俺が最後に考えてた「夢」って何だったっけ?
確か、宇宙飛行士は英語の成績が悪くて断念して、それから・・・

・・・

だ〜めだ。思い出せねぇ。

そもそも、それからの俺は夢なんて考えてなかったのかもしれない。
フツーに学校行って、フツーの社会人になって。
「目の前の現実と闘う」なんて言えば聴こえはいいけど、
結局は周りに流されてるだけなのかもしれない。

・・・

・・・なぁんか。つまんねぇオトナになっちまったな・・・。

・・・

・・・

・・・ん。

そういや、何年か前の。

そう、あれは確か、こっちに引っ越すことが決まった年。
アイツが書いて送ってくれた年賀状。


『夢をいつまでも!』


そうそう、あの時は「別に夢なんかじゃねーよ」なんて毒ついてたけど。

・・・

そっか。

俺って、あの頃の『住みたい場所に住む』っていうのを叶えて、今ここにいるんだ。


・・・こういうのも、「夢」にしといてもいいのかな?

background music
LIFE / YUI
この物語には、90%未満の嘘が含まれています。
投稿者 Kazoo : 2007年1月 6日 16:24
コメント

なかなか居住地は変えられないよ。
すごい勇気のいることだと思うけどなぁ。
私も住みたいけど無理だもの。

Posted by: meru : 2007年1月11日 12:09

> meru嬢
移住が決まった当時、同僚から「よく決断したよな」「なかなかできない」って
言われてもピンとこなかったけど、改めて考えてみると
結構無謀なトコもあったよなって(笑)

大丈夫、決めてしまえば思いのほかすんなりいくものだよフッフッフ。

Posted by: Kazoo : 2007年1月13日 11:13
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