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土曜日の夕方、待ち合わせ場所へ向かう電車でのこと。
暮れ行く街並みを窓越しに眺めていると、携帯が鳴り出す。
かけてきたのは職場の上役。自分が担当していた作業について「確認したい」ことがあるらしい。
聞くと、構築しているシステムにバグが発生したとのこと。システム始動直前のこの時期、責任の所在云々よりも「このバグをいかに短時間で対応するか」が優先される。方法によっては自分でしか対応作業ができない。現在作業しているメンバーでも対応できるか判断するために「確認したい」らしい。問い合わせについて回答すると、再度かけ直すという返事と共に通話は切れた。
電車は目的の駅に到着。待ち合わせ場所には友人が自分の到着を待ちかねたように立っていた。
どうやら付き合っている相手について、かなり不満が溜まっているらしい。前々から話は聞いているが、年末年始にかけてよほどのことがあったんだろう。職場から緊急の問い合わせがあったこと、下手をするとこのまま職場に向かわなければならないことを告げると、『これでキミまでいなくなったら・・・』と俯いてしまう。
と、再度携帯に着信。対応方法を2つ提示される。「自分がいなくても対応できる方法」と、「自分が行かないと対応できない方法」。ただし、前者は「逃げ」の対応でしかなく、問題を根本から解決するためには、自分が出向いて調査するのが最良だと分かった。
受話器の向こうから、現場の切羽詰った雰囲気が伝わってくる。顔を上げると、上目遣いに様子を伺う友人と目があった。
どうする・・・
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さして珍しくもない、よくある話。そう、誰もが経験したことがあるような。
でも、こんな選択を何度も繰り返して、行き着くトコロへ行き着いてしまうのが人生のような気がする。